旅の写文 空のテーマ 第2集
  風雲・大気・天候・宇宙など、空の写真にコトバを乗せて……
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 シャッターを2分開けたら、
この2分で星が少し長くなった。
6時間前日本の夜空にあったオリオン座が、
地球を4分の1周まわってわたしの頭上にやってきたのか。
こうしてゆっくり確かに同じ星。
でも日本で輝いた星の光は、
数年と6時間前の光。
同じ星を見ているけれど、
同じ時じゃないんだな。
砂漠のオアシス村ギャルメェ 【イラン】
 
 峠を越えると、雲の形が急に変わった。
 肉厚で、ひとつひとつが巨大で、幾重にも層を作り、
 風に乗ってゆっくり、ゆっくり、
 でも確かな足取りで、峠に挑もうとしていた。
 山道を下りきれば、そこにはカスピ海が広がっている。
 
首都テヘラン北部の峠道 【イラン】
 
この辺りはいっつも曇り。          
うっすらと広い灰色雲の上にも、どっしりとした白い雲の塊がたくさん浮かんでいる。
いつも薄暗く、方向も時間も分からないから、時計は必需品だ。   
すぅっと雲の切れ目から太陽が顔を見せた。          
あぁ、そろそろ、おなかが空いたなぁ。                 
 
キャンドヴァン村郊外 【イラン】
 
 
      雷とともに突然降り出した雨に人々は逃げ惑う。
    わたしは主のいない靴修理屋の露店のひさしで雨宿り。
     すると、自分以外の人たちが見えた。
      電話ボックスに逃げ込む人。猛スピードで走り抜ける人。
       黒いチャドルを分け合う母子。
            人の数だけドラマを起こすにわか雨。
タブリーズの市街地 【イラン】
 
 
  高原を走っていると、雲行きが怪しくなった。
  遠くに見えていた雲は、どんどん高度を下げてせまり来る。
 這うようにして丘の斜面を覆い、ついにはすべてが真っ白になった。
   雲の中で視界を探ると、道のすぐ脇は谷底。
    渓谷から昇る霧と雲の狭間。
マークー町郊外 【イラン】
 
丘陵地帯に続く線路からの景色は、どこまでいっても変わらない。       
 時の流れに乗り切れず、取り残されたわたしを引きずりこむように、         
  雲が、焼かれていく。今日も一日が終わるようだ。                        
 
 
タトウァン発マラティア行列車 【クルディスタン】
 
 
 
 
 
    祝祭パレードのアクロバット飛行を披露する軍のヘリコプター。
    間近に迫り爆音をとどろかせると、恐怖にも似た興奮を覚えた。
     なるほど、空を支配すると地上も支配できるわけだ。
マラティヤの建国記念日 【クルディスタン】
 
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