旅の写文 人のテーマ 第5集
  家族・子供・仕事・生活など、人の写真にコトバを乗せて……
人:第4集へ
旅の手記へ戻る
人:第6集へ
 
島中にとどろく銃声を聞いた英国老婦人は、わけもわからずノーグッドと言った。
島の管理人は、環境保全のためと説明した。でも、ノーグッド。殺しちゃダメよ。
わたしは、食べるためと説明した。でも、ノーグッド。理由はどうあれノーグッド。
太って歩くのもままならないその老婦人に、怒りを覚え始めた。
ウァン湖のアクダマール島 【クルディスタン】
 
普段は子供の物乞いに恵んだりしないけれど、この日はなぜか、恵んだ。
ドーナツスタンドで40円のドーナツを買ってあげると、他の子供たちも集まってきた。
しまった、と思いながらその場を足早に離れ、物陰から様子をうかがうと、
彼は、自分では一口も食べずに、他の子たち、自分よりも大きい女の子にさえも、
ドーナツをちぎって分け与えていた。わたしは正直な気持ち、ホッとしていた。
色んな意味でホッとしていた。
シャンルウルファ町のバスターミナル 【クルディスタン】
 
 
      人に神性を見出す瞬間は、
         いつ訪れるかわかったものではない。
シャンルウルファ町のバザール 【クルディスタン】
 
最後に家族揃って写真を撮ったのは、いつだったかな。
恥ずかしいことなんかこれっぽちもないのになんで撮らなくなったのかな。
きっとこの写真は彼らのアルバムの素敵な一ページに刻まれるんだろうな。
シャンルウルファ町の城塞屋上 【新疆ウイグルスタン】
 
 
嫌だなと思って足を速めても、
 路地に回り込んでも、
話しかけるでもなく一定の距離を保って、
どこまでもついてくる女学生二人。
 変なガイジンだなぁ。
脇の下から、カメラを覗かせ
  シャッターを押した。
   変な現地人だなぁ。
バットマン市の中心地 【クルディスタン】
 
  手招きされて近付いてみたが、
   言葉が一切通じない。
    でもこの人は、
  女たちの中で一番偉くて尊敬されていた。
    男は背中で、女は眼で語る。
ハサンケイフ遺跡の小さな集落 【クルディスタン】
 
 
 普通の民家の普通の団欒の普通の居間に、
  即席に座布団を敷いて作った特等席。
 最大限の心からの歓迎の、なんと嬉しかったことか。
ディアルバクル市のクルド人 【クルディスタン】
 
 
 売れ残りを焼いている魚屋さんに、
             「ちょっと味見させてよ。」
                    わたしは旅人だった。
黒海沿岸港町トラブゾン 【トルコ】
 
 
 
              朝日が昇れば、
              一軒いっけんから母と子が現れ、
                  学校へ向かう坂道。
サフランボル市の旧市街 【トルコ】
 
  こっちの席ならテレビがよく見えるでしょ。
 あふれるぬくもりは、暖炉と木の柱と、
 母のもてなし。
サフランボル市の家庭料理店 【トルコ】
 
ページトップへ
人:第6集も見る
inserted by FC2 system